「iDeCoであまり利益が出ない…」コロナショック期の狼狽売りが招いた残念な結果
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「iDeCoであまり利益が出ない…」コロナショック期の狼狽売りの残念な結果

  • 公開日:2021.05.07

Editor's Eye

読者の方から寄せられた、資産運用にまつわるお悩みをお金のプロが解決する「みんなの資産運用相談」。今回登場するのは、約3年前からiDeCo(イデコ)で老後のための資産形成をしているのにもかかわらず、あまり利益が出ていない……と嘆く相談者。その理由を紐解くと、コロナショック期の行動に問題がある模様。ファイナンシャルプランナーの前田菜緒さんに解説していただきます。

【田中 郁子さん(仮名)プロフィール】
40歳、会社員、夫と子供たちと暮らす4人家族。東京都在住。老後資金を準備したいと思い、3年前からiDeCo(イデコ)での資産運用をスタート。月々2万円拠出している。        

【寄せられたお悩み】 
「iDeCoの利益額が少ない気がします。というのも、コロナショック後の運用が好調とネットニュースやSNS等でよく見るのですが、私はそうではないからです。みなさん、なぜそれほど好調なのでしょう?」

【お悩みの論点】
①運用益が周りと比べて小さいのではないか
②iDeCoの運用はこのままで良いか

【資産状況や収入状況】
世帯の金融資産額:875万円

内訳
預貯金:800万円
投資信託:75万円 (投資した元本74万円)※iDeCo内で運用。日本株式に投資するファンド(保有のみ)、日本債券に投資するファンド(積立中)の2種を保有

<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:55万円
・手取りの年収:900万

  • ●約3年前からiDeCoをスタート
    スタート当初は日本国債20%、日本株式80%で積立。


●コロナショックまで
損益率がプラスになったりマイナスになったり繰り返していたものの、大きくプラス方向、マイナス方向に動くことはなく、運用に対して不安になることはなかったそう。
一方、「一体いつになったら資産が増えたと実感が湧くのだろう?」とも思っていたそう。

●コロナショック期
株価大幅下落のニュースを頻繁に目にするようになり、自分のiDeCo口座にログイン。
すると、保有している日本株式の投資信託が、今までにない評価損になっていた。一方、日本国債はほんの少しだけプラス評価だった。
「やはり株式で運用するとマイナスになるんだ。怖い……」と思い、それ以降、日本株投信への積立をやめ、100%日本国債の積立に変更。
さらに、このままではどんどん資産が減ってしまうかもしれないという恐怖から、保有している日本株の投資信託を一部売却。


以降、残った日本株の投資信託の保有をしつつ、国内債券100%の積立を行っている。

***

iDeCoで損失が出ているというご相談はよくありますが、「利益が少ない」というのは珍しいご相談です。

それだけ運用に関して、いろいろ調べられている証拠ですね。意識が高い田中さんですが、どうして一般的に言われている「コロナショック後は多くの人の運用が好調」という状況に反して利益が少ないままなのでしょう? 解説していきます。

田中さんの運用状況を聞き、問題点は、長期・分散・積立という資産運用の基本を理解しきれていない点、ご自身のリスク許容度を把握できていない点であると思いました。

まず、iDeCoは長期で運用する制度です。短期間で成果を出す必要はありません。

加えて、長期で運用すればするほど、各年の損益が打ち消しあい、運用が安定するようになります。コロナで資産が減ったとはいえ、まだ運用開始してから3年ほどですから、いくらプラスになった、マイナスになったと気にする必要はありません。長い目で見る必要があります。

そして、運用益が少ないと思う最も大きな理由、それが株式の投資信託を一部売却し損失を確定させたことと、積立をやめたことです。

積立には、安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わないことを繰り返すことで平均取得単価を下げる効果があります(ドル・コスト平均法と呼ばれています)。しかし、今が高いかどうかは誰にも分かりません。

この時が高値だった、安値だったというのは、過去を振り返って始めて分かることです。だからこそ、毎月同じ金額を積み立てることが大切なのです。

そして、安く買って高く売ることによって利益を得られるので、コロナで株価が下がったら、それは購入のチャンスとも言えるわけですが、田中さんは安い時に売ってしまうという、真逆のことをしてしまいました。

この原因として、積立の効果を知らなかったという点も挙げられるのですが、運用していた資産配分が田中さんのリスク許容度に合っていなかった可能性もあります。

株式は債券に比べ値動きはダイナミックです。一方、債券の値動きは比較的緩やかです。今回、運用益が小さいというお悩みでしたが、株式の割合を多くすると資産額に動きが出て、田中さんが見た世間の運用好調という情報と同じようになった可能性はあります。

しかし、それは同時にコロナショック期の株式の大きな評価損を受け入れることにもなります。リスクは取らずに、リターンだけ取ることはできません。田中さんがどの程度のリスク(値動き)までなら耐えられるか、長期・積立の効果を理解した上で、考えてみる必要があるでしょう。

なお、田中さんは現在、日本の資産しか保有していませんが、分散投資の観点から海外資産も取り入れると良いでしょう。

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著者

前田 菜緒 ファイナンシャルプランナー
前田 菜緒
FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

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