個人事業主必見! 国民年金基金×iDeCoの見直し、 法人成り後の注意点を解説
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個人事業主必見! 国民年金基金×iDeCoの見直しポイントと法人成り後の注意点

  • 公開日:2021.05.21

Editor's Eye

読者の方から寄せられた、資産運用にまつわるお悩みをお金のプロが解決する「みんなの資産運用相談」。今回は個人事業主からの法人成りを考える、40歳女性が登場。現状の資産形成で問題ないのかということと、法人成りした場合それらはそのまま継続できるのか知りたい、ということです。ファイナンシャルプランナーの竹内 美土璃さんが解説します。

【田中ちか子さん(仮名)プロフィール】
40歳、愛知県在住。Webデザイナーで独身。3年前会社を退職し、フリーに。国民年金基金(終身年金A型)とiDeCo(定期預金)に加入している。

【寄せられたお悩み】
「コロナでクライアントが増え、法人成りして従業員を雇用したいと考えています。テレワークで業務はできますので、新たに事務所を構える必要はなく、初期費用はそこまでかからなさそうです。
事業の方は借入をして準備をしていきますが、老後に備え私の個人資産も心配です。65歳までに2000万円ほど貯蓄したいと考えていて、銀行預金での貯蓄・iDeCo(個人型確定拠出年金)・国民年金基金をしていますが、今のままで大丈夫でしょうか? また、もし法人成りしたら、現在加入中の国民年金基金、iDeCoは継続できますか?」

【お悩みの論点】
①現状の銀行預金・iDeCo・国民年金基金はこのままでいい? 見直しポイントは?
②個人事業主から法人成りしても、加入中の国民年金基金、iDeCoは継続できる?

金融資産額:800万円

内訳
預金:800万円
※ただし、従業員を雇う場合、100万円を事業用資金にする予定
(つまり、自分の資産として残るのは700万円)
※iDeCoの資産はここに含めていない

<収入>
・毎月の手取り収入:66万円
・手取りの年収:約790万円

<資産形成のための支出>
毎月、手取り収入から……
・約3万円を国民年金基金(終身年金A型に加入、1口目13080円、2口目以上が4口17440円、合計で30520円の掛金)に
・2万円をiDeCoでの積立のために拠出
・5万円を銀行に預け入れ

***

現在、おひとり様で独身生活を謳歌されているちか子さん。お仕事も順調で、一人では手がいっぱいになってきたので今後は従業員を雇用したいとお考えなのですね。一方でご自身の老後のための資産形成も気になるとのこと。さっそく、ご相談内容について一緒に考えていきましょう。

不安を取り除くためには、現状を把握することが大切です。

ちか子さんは、3年前の37歳まで会社員をされていましたが、現在は個人事業主です。ちか子さんは、会社員から個人事業主に変わって、何が足りなくなったのでしょうか。

会社員の時は第二号被保険者で、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の両方の加入者していました。ところが、現在は個人事業主で、第一号被保険者となり、国民年金の加入者となりました。ちか子さんは、厚生年金部分を補填するために国民年金基金(第一号被保険者にとっての2階部分)に加入されているわけです。国民年金基金で毎月約3万円積立をされ、さらにiDeCoで毎月2万円積立をされています。

節税もしながら、将来の貯蓄をされていて、現状もとても素晴らしいです。自信を持ってくださいね。ここからは、まず今の資産形成をより有利にしていくアドバイスをできればと思います。

金融でいうポートフォリオとは、資産を殖やしていくための資産の組み合わせのことです。お金を殖やす鉄則として、「長期・積立・分散」というものがあります。目標達成のために現状よりも、より「長期・積立・分散」の効いた資産運用をしていくことを考えていきましょう。

まずは銀行預金の貯蓄分。個人資産を700万円と決めても、いざというときの防衛資金として200万円を出し入れしやすいよう、定期預金に入れておくといいでしょう。そして、残りの500万円に働いてもらう(=投資)ことを考えてみましょう。

投資するのならば、投資信託がおすすめ。500万円を分散投資するために、例えば、国内債券ファンド100万円、国内株式インデックスファンド100万円、世界株式インデックスファンド100万円、世界債権ファンド200万円と振り分けてはいかがでしょうか。株・債券と資産クラスの異なる投資対象×海外・国内と分散の効いた投資が実現します。

次は国民年金基金・iDeCoです。

ちか子さんの加入している国民年金基金は終身で受け取れるものですから、良い選択です。しかし、国民年金基金は運用商品を自分で選ぶことはできないというネックもあります。しかも、国民年金基金は一度入ったら、第二号被保険者にならないとやめられません。

よって、口数を減らし、毎月の掛金を減らすことを考えます。国民年金基金は加入した年齢で1口当たりの金額が変わります。ちか子さんは37歳の時から始め、現在、終身年金A型にお入りになっていて、1口目13080円、2口目以上が4口17440円、合計で30520円の掛金で入っています。そこで2口目以降を1口に変更すれば、毎月の掛け金が17440円となります。

ちか子さんのような第一号被保険者の場合、国民年金基金とiDeCoを合わせて毎月68000円積み立てることができます。国民年金基金への掛金を減らすことで、iDeCoに拠出できるのが毎月約50000円となります。

iDeCoでの運用についても見直していきましょう。

繰り返しになりますが、ここでも「長期・積立・分散」が重要。iDeCoはもともと、60歳まで引き出せない、毎月決めた額を拠出するという意味で「長期・積立」が自動的に叶うシステムなので、運用商品での分散を考えます。

現在、iDeCoは定期預金で積立をしていますが、これはもったいないと言わざるをえません。定期預金の金利以上にiDeCoの手数料がかかりますので、手数料分元本割れしていると考えると、商品を投資信託に替え、リスク分散しながら資産を増やしていった方が賢明です。

すでにご説明しました預金500万円を投資信託にシフトするときに、インデックスファンドや債券ファンドを選んでいるので、iDeCoではよりリスクを取りながら利益を追求する、アクティブファンドにされるのもいいでしょう。

ここまでをまとめますと、

1.銀行預金500万円をインデックスファンド投資にシフトし、堅実に殖やす
2.口数は減らすものの、国民年金基金で確実に安定的に殖やす
3.iDeCoの拠出額を増やし、さらにアクティブファンドで攻めの分散投資をしてみる

という方針です。

iDeCoだけを見ても、元本は1200万円(5万円×240カ月)貯めることができます。年利3%の運用で約1612万円、5%の運用で約1984万円となります。そこに、預金の200万円とインデックスファンドで運用する500万円+αのお金を合わせれば、2000万円という目標金額を上回ってくることがわかります。

ここまでは、個人事業主の場合でお話してきましたが、法人成りをした場合、やれることや拠出する金額も変わってきます。

まずは、ちか子さんも第二号被保険者になりますので、国民年金基金ができなくなります。しかし、代わりに厚生年金に変わりますのでご安心ください。また、国民年金基金で積み立てていた分は、無駄にはならず、金額は少なくはなりますが、終身で年金として受け取ることができます。ご安心くださいね。

次に、iDeCoについて。法人成してiDeCoができるかどうかご心配されていましたが、結論から言うと、iDeCoはできます。ただ、拠出できる金額が、23000円になりますので注意が必要です。

また会社組織にした場合、福利厚生として確定拠出年金を導入することができます。

一つ目は、中小事業主掛金納付制度(通称iDeCo+)と言って、iDeCoと同様に最大で拠出する金額が23000円ではありますが、そのうち22000円までは会社からを拠出することのできる制度があります。これも魅力的な制度ですね。

また、拠出金額を増やしたいのであれば、企業型の確定拠出年金(企業型DC)を導入することもできます。そうすれば、55000円まで確定拠出年金をすることができますので、今と変わらないくらいできますね。

どちらにするかは法人成りした時のちか子さんの状況によって決めれば大丈夫です。法人成りが正式に決まりましたら、またご相談くださいね!

それでは、さっそく「長期・積立・分散」の仕組みを作って、ワクワクな毎日を過ごしていってください。

まとめ
●銀行預金500万円は投資信託にシフト
●国民年金基金の口数を減らし、毎月の掛金を少なく。その分をiDeCoに回し、iDeCoでは攻めの運用を
●法人成りをすると、福利厚生として、iDeCo+や企業型DCを導入できるなど、資産形成の選択肢は広がる(ただし、国民年金基金はできなくなる)

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著者

竹内 美土璃 ファイナンシャルプランナー
竹内 美土璃
さくら総合オフィス代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・DCアドバイザー。法律事務所内FP事務所で、個人のマネープラン相談から、法人向けに確定拠出年金の導入の提案から継続投資教育などのサポートまで行っている。また、「相続アドバイザー」「夫婦再生カウンセラー」として、相続、夫婦関係のカウンセリングも行っている。モットーは「お客様が上質な人生を送れるよう全力で支援」。

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