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「普通預金だけではもったいない」と始めた外貨預金―“金利マジック”の落とし穴

  • 公開日:2021.06.09

外貨預金1000万円分+為替差益をどこに預け、運用していきましょう?

まとまったお金の一括投資はリスクを伴うものですが、今回は3つ目のお悩みである、保険と関連させて考えた方が良さそうです。ご主人が独身時代からかけている生命保険に着目してみます。

そもそも生命保険は何のために加入するのでしょうか?

万が一のことがあった場合のご家族の生活保障、大きな病気やケガ、葬儀資金等、一時的な支出を補うための保障が思い浮かびますが、その形は千差万別です。大手企業にお勤めのご主人は、年収700万(手取り)、支出の一覧を見るに、佳奈さんも倹約家ということもあり、貯蓄は順調に積みあがっています。

ご主人は健康保険に加入。万が一のことがあっても、高額療養費制度があることも見逃してはいけません。そうなってくると在職中の医療保険の優先順位は下がりますので、老後に備えて一生涯続くものをそれほど厚い保障でなく準備すればよいとなります。

現在加入の保険(<更新型>定期保険特約付終身保険)は、10年ごと更新されるもので、50歳を迎える頃にはさらに保険料はかさむでしょう。目的ごとに必要な保障を考えてみると、一時的な医療費等支出についての優先順位は低く、お子さんもいないので、働き盛りの現役時代であってもご家族の生活保障は大きくなくてよさそうです。

現状の生命保険の特約部分の削減や保障の減額などの見直しをすれば、月の保険料も大幅に抑えることも可能です。

一方で、外貨建て生命保険に加入することで、万が一あった場合の保障も準備しながら、タイミングを見ながら解約して老後資金の一部としていくというのも1つのアイデアです。

早期に解約すると目減りしてしまいますが、他にも使える資産がありますので、万が一の場合は預けたお金よりも高い保障を備え、万が一のことが起きなかった場合には、為替も考慮しながらですが、老後の生活資金としてハイブリットに備えていくという考え方です。

外貨建て生命保険については、メリット・デメリットを考慮して検討する必要があります。

海外からみると、生命保険を自国の通貨以外で加入することは全く不自然のようですが、金利の見込みがない円と比較するという選択肢もあるかもしれません。

現在55歳という年齢もあり、長期投資を考えたときに何が合っているのかということでしたが、受給可能期間が拡大していることを背景にiDeCo(イデコ)はどうでしょうか。

2022年から年金法の改正によって、iDeCoの加入期間や受給可能期間が公的年金制度と足並みを揃えてきます。そうなると65歳までの10年間は積立投資が可能となります。

さらに受給可能期間は75歳まで延びますので、老後資金を増やすラストチャンスとなるでしょう。

では55歳でどのような銘柄を選択すればよいのでしょうか。銘柄を選ぶ際にはご自身の資産状況や、投資の目的を明確にするのがベストです。55歳、積立期間が5年10年ということになるので積極的に投資で増やしたくない(=リスクを大きくとりたくない)場合は、「バランス型」がおすすめです。

代表的な銘柄の一つとして、株式50、債券50という比率の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」をご紹介します。このファンドはプロがメンテナンスしてくれますので、自分で何かする必要がありません。

1本で世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資することが出来ます。投資資産分配比率は、各地域の株式および債券市場の時価総額(規模)で決まっており、資産分配は適宜見直しされています。

要するに、このファンドを1本購入することで、欧米をはじめ新興国、そして日本とたくさんの企業の株式や債券に投資ができるという事になります。

投資初心者でよく分からないし、55歳という年齢からあまりリスクは取りたくないけど、物価の上昇ぐらいはカバーしていきたい場合には、物価の変動もチェックしながら、収益が達成できているイメージで持たれてはいかがでしょうか。

過去実績を確認すると、10年前仮に毎月23000円を積立てていったとすると、投資元本の累計が276万円に対して421万円の資産となり約145万円のリターンを得ることが出来ました。あくまでも過去の実績にはなりますが、参考にしてみてください。

5歳年下の旦那様だと、佳奈さんが65歳で年金を貰い始めてからもまだ60歳、現役で働いている可能性も高く、65歳あるいは70歳の時に定年・退職一時金も見込めるとなると、10~15年はお金にも働いてもらえる時間が確保できるライフプランとなりますね。

iDeCoには非課税メリットもありますし、時間と非課税のメリットを享受できる資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。

今回は外貨預金、生命保険と見直すポイントを多くお伝えしてきましたが、一つ一つ吟味されて、より有利な運用を実現していただければと思います。

まとめ
●外貨預金のキャンペーン金利には注意!
●外貨預金の1000万円は、外貨建て保険で運用するのも1つのアイデア(ただし、デメリットもあるのでしっかり検討を)
●現状の生命保険は定期保険特約部分など、見直しするのが吉!
●これから老後資産形成をさらに加速させるのなら、iDeCoがおすすめ

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著者

非公開: 渡辺 和子 ファイナンシャルプランナー
非公開: 渡辺 和子
AFP、公的年金アドバイザー。損害保険会社勤務を経て、Miriz専務取締役に。公的・民間両方の視点での保険アドバイス、さらには住宅資金相談や相続、老後資産形成までライフプランに合わせた総合的なコンサルティングを行っている。セミナーでの講演やWEBメディアへの執筆活動も。

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